サウジアラビアと言えば石油産出国で豊かな国としても知られています。
お金持ちの国という反面、サウジアラビアで問題となっているのが若者の人口増加と失業率の増加です。
サウジアラビアの若者が働かない、働けない現実をご紹介します。
目次
サウジアラビア政府の危機感
サウジアラビアは中東最大の原油国として知られています。
2018年に発表されたエネルギー白書では世界の原油確認埋蔵量はベネズエラに続き第二位となっており今後約70年は持ちこたえるとも言われています。
しかしいずれ枯渇するであろう原油に対してサウジアラビア政府は危機感を持っています。
歳入の8割を石油に依存していることから脱石油に乗り出そうとしています。
2030年迄のサウジアラビア発展概念計画として投資、経済特区の創設等が盛り込まれた内容でサウジアラビア政府閣議で承認されています。
サウジアラビア国民の意識
サウジアラビア国民はオイルマネーで豊かな生活を送ってきました。
サウジアラビアの国民であれば、医療費、教育費、住居費は無料ですし税金もなく、電気代やガス代は国から補助金が出ています。
大学や職業訓練校などに通うと毎月支払ではなく、国から給料がもらえます。
また海外への留学生は学費、生活費が国から支給されるので、アルバイトなどをする必要はありません。
サウジアラビアの公務員は45才になれば仕事をやめることができ、それ以降は年金がもらえます。
これだけ国からお金が支給されることになると、普段の生活であまりお金を使うことがありません。
働かなくても日々の生活に困ることはないというのがサウジアラビアの国民の意識であり、若者は働かないのです。
若者が働かない理由
また若者が働かない理由の一つに働く場所はあるが働きたい場所はないということも挙げられます。
サウジアラビアには出稼ぎ労働者が多数入国しており様々な過酷な現場で働いています。
サウジアラビアの首都であるリヤドは砂漠の真ん中にある都市であり4月から11月くらいまで日中は40度超という酷暑が続きます。
昼間は50度近い気温になりますが、そのような厳しい環境の中肉体労働をしているのはほとんどが外国労働者です。
今のサウジアラビアの若者は生まれた時から裕福で便利な時代に育っています。
このような若者はつらい肉体労働等を好むわけもなく、サウジアラビアの若者が働きたい場所はオフィスワーク等に限られてくるのです。
また学校での進路の決め方にも一因があります。
サウジアラビアの公立学校は自分が進みたい進路に進めるものは少なく成績順に医学部、工学部等の理数系から文科系へ割り振られます。
進みたい進路に進めない若者が多く、親が一定の職業についていたら子供は働かなくても豊かな生活ができます。
このような働く気力のない若者たちを積極的に雇う企業は少ないのです。
まとめ
サウジアラビアの街中では、若い男性が昼間から携帯電話を片手にカフェでのんびりコーヒーを飲んでいる姿を見ることができます。
生まれた時から裕福な暮らしをしてきた若者達は働くことに意義を見出すことができない人も多いKです。
石油が枯渇してしまう前に働かない若者達の意識を変えサウジアラビアの国のための貴重な労働力になるように導くことがこれからの課題なのです。