サウジアラビアは世界でも有数の原油、天然ガスなどの天然資源に恵まれている国です。
サウジアラビア国内では水道施設に自国の天然ガスを使用しているため水道料金は安いですしガソリンも他国に比べると破格の安さです。
サウジアラビアは石油などの天然資源で潤っているのになぜ原発を輸入しようとしているのでしょうか?
若年層の人口増加に伴う電力需要の増加
日本は高齢化社会に突入し毎年の出生率は低下し続けていますがサウジアラビアは若年化社会であり人口は増え続けています。
なぜ中東地域でこのように人口が増加しているのでしょうか?
中東地域では医療の進化が浸透し乳幼児の死亡率が低下、またアラブ社会特有の大家族の概念により若い世代の増加が顕著なのです。
サウジアラビアの人口急増により今後10年で電力需要は2倍になる見込みだとも言われています。
サウジアラビアの水道は1990年代は無料でしたが現在は有料になり、国内で取れる天然ガスが水道施設の淡水化に使われています。
また電力は火力で賄われていますが人口増加で電力事業には多額の投資が必要になり各国に協力をあおいでいるのです。
原油輸出のための原発輸入
なぜ豊富な原油があるのに原発を輸入する必要があるのでしょうか?
サウジアラビアは原発、原子炉建設のためアメリカ、フランス、ロシア、韓国、中国、ロシアなどと協力協定を結んでいます。
これらの国の協力を得て原発を輸入するのにはサウジアラビア国内での電力需要問題が関係しています。
2012年までの調べで国内の電力需要は年5-7%で増加しているため火力発電以外に不足を補うため太陽光発電、原発を備える計画を発表しています。
現在電力需要のために火力発電に自国の原油を使用しているものを、太陽光と原発で補うことで原油輸出量を増やそうという狙いなのです。
なぜ日本だけウラン濃縮と再処理の容認
2018年サウジアラビアのサルマン皇太子はイランの核開発に対してサウジアラビアは追随する姿勢をしめしました。
またトランプ政権に対してウラン濃縮と再処理の容認を求めています。
サウジアラビアの原発導入計画では原子力の平和的利用を表明していましたが、これらの発言で平和利用について警戒感をもたれています。
ウラン濃縮や再処理で生じるプルトニウムで核兵器開発に転用することが可能だからなのです。
一方日本はウラン濃縮や再処理について核兵器を持たない国として認められており、原子力を自由に扱うことができます。
これは米議会によって日本の原子力平和利用の実績から承認されたものですが各国から根強い批判もあり半年前の通告で協定はいつでも終了可能となっています。
サウジアラビア皇太子の発言でなぜ日本だけウラン濃縮、再処理が認められているのかといつ飛び火するかわからない状況なのです。
まとめ
サウジアラビアは原発について平和利用と発表していますが隣国イランとの安全保障上の警戒から原発の平和利用について疑問を持たれています。
アメリカに容認を求めているウラン濃縮や再処理で原発を電力需要だけでなく、核兵器転用される恐れがあるからです。
このような懸念材料があってもサウジアラビアへの原発輸入が進むのは各国の国内原発産業の衰退でサウジアラビアへの原発輸出を好機と考える国の思惑もあるのです。